2007年12月26日
クリスマス、まとめ。
教会のクリスマス、ポットラックのランチ画像です。

皆さんいろいろ面白いものを作って来て下さっておいしい食事になりました。ブロガーのみなさんも楽しい、または仕事で忙しいクリスマスを過ごされたみたいで何よりです。で、たまには牧師らしくクリスマスについてのまとめ記事を書こうかと思います。
キリスト教的に言えば、クリスマスの意義はいろいろありますが、それを言い出すと長くなるので、そういう話が聞きたい方は教会にお越し下さい。今回は聖書を基準にして、聖書に書いてあるか書いていないかをまとめてみました。教会の唯一の基準となるのは聖書という正典だけなのですが、なぜかクリスマスなるとキリスト教徒はあんまり聖書を読んでいないのか聖書に書いていないような話がまことしやかに語られたりしてますが、だまされちゃだめですよー。○☓のクイズ形式で出題してみました。○と☓がいくつつくでしょうか??
①12月25日はキリストの誕生日である。
②父ヨセフと母マリヤは宿屋に宿泊できなかったため、キリストは馬小屋で生まれた。
③キリストの母マリヤは周囲の祝福を受けて出産した。
④サンタクロースは聖書に登場する人物がモデルになっている。
⑤キリストの誕生には3人の博士(学者・占星術師)が立ち会った。
⑥クリスマスはキリスト教の初期(1世紀後半)から盛大に祝われてきた。
では、答え合わせ。答えは全部☓です。
①12月25日というクリスマスの日付は聖書には出てきません。キリストが生まれた夜、羊飼いが野宿していたという状況から考えると、12月の寒い時期にキリストが生まれたということは考えられません。もともとクリスマスは1月の初めに祝われていましたが、12月末に行われていた太陽の神の祭りが結構盛り上がっておりました。それでキリスト教の祭りを定着させ、異教の祭りを廃止するために、太陽の神の祭りの日にクリスマスを移動したという説が有力です。そんなんで、クリスマスはキリスト教の祭りですと言いつつ、キリスト教とはあまり関係のないヨーロッパの異教的な習慣がたくさん混ざり込んでいます。
②父ヨセフと母マリヤは住民登録の命令が出たために、現住所のナザレからヨセフの故郷であるベツレヘムに旅をしなければなりませんでした。いくつかの聖書には宿屋には彼らの居場所がなかったと訳されていますが、宿屋と訳されている言葉は「客間、ダイニングルーム」と訳すことも可能な言葉。そもそも観光地でもないベツレヘムにホテルがあったのか疑問。だいいち故郷に帰るなら実家とか親戚の家に泊まるでしょう。
それから、馬小屋ではないだろうと思います。なぜならイスラエルでは馬はほとんど飼われていなかったからです。水があまりない地域で、牧草もほとんどない羊や山羊の放牧がせいぜいの土地柄。馬に乗っていたのはローマの兵士ぐらいでしょう。馬小屋ではなくてヤギやロバがつながれていた「家畜小屋」が正解だと思います。
③マリヤとヨセフは当時の結婚制度の中で婚約中のような状態でしたが、婚約期間が終わるまでは正式な結婚とは認められませんでした。マリヤは正式な結婚をしていないのに聖霊によって妊娠するという超自然的な神様の働きで妊娠したということなので、「未婚の母」扱いです。しかも相手はヨセフではないので、当時のイスラエルにおいては「姦淫の女」のレッテルが貼られるような存在でした。古いイスラエルの法律を適応すれば、こういう女は「父親の家の前で石打の死刑」と決まっていましたから、祝福どころか冷たい目にさらされていただろうと思います。ヨセフは、自分が妊娠させたのでもないのに妊娠した婚約中のマリヤを恨むこともしないで、そういう社会的な批判にマリヤがさらされるのを危惧して、こっそり離縁しようとしました。そこで、夢で神様の使いにとどめられて思いとどまります。ヨセフはなかなか人間ができた男です。
④サンタクロースは4世紀の聖ニクラウスが起源だと言われています。聖書とは直接関係ありません。が、聖ニクラウスが娘を身売りしようかと悩んでいた貧しい家庭を助けるために金貨を投げ入れたという話がサンタクロースのモデルになったということです。サンタクロースにモノをもらうことばかりではなくて、人を助けたり、優しい気持ちを他人にあらわしたりすることがサンタクロースの精神を受け継ぐことだなーと思います。
⑤マタイの福音書というところに、東方の博士が来訪する記事が出てきますが、キリストが生まれた家畜小屋には来ていないでしょう。当時のイスラエルの支配者ヘロデがキリストの生まれた年代や場所を学者たちに調べさせた結果、2歳以下のベツレヘム周辺で生まれた男子を全員殺せという命令を出しますから、おそらく東方の博士の来訪はキリスト誕生から2年以内のしばらく時間がたった後だろうと思います。それから、博士が持ってきた贈り物の数が3つなので3人の博士だと思われていますが、聖書には3人だったとは書いてありません。複数形なので2人以上ということしか分かりません。
⑥クリスマスが祝われるようになったのはキリスト教の歴史のなかでは比較的後になってからです。と言うのは、キリスト教の初期にはキリストが十字架にかかったとか、復活したとかいうことの直接的な目撃者はたくさんいましたが、キリストの誕生の出来事なんかほとんど誰も知らないという状況でした。そもそも数十年前の個人的な出産の話なんか、産んだマリヤぐらいしか覚えてないんじゃないのかと思います。で、復活祭(イースター)はキリスト教の初期から祝われていましたが、クリスマスはキリスト教が国教化され、激しい迫害を受けなくなって時代が安定してから、ある意味「後付け」みたいな感じで祝われるようになりました。イベント性が高いので盛り上がるのがクリスマスですが、聖書的にも歴史的にも「復活祭」の方が重要度が高いと思われます。
と言うわけでキリスト教的にはクリスマスというのはそんなにロマンチックでもありません。と言うか、聖書にはキリスト誕生の記事はごくごくわずかしか出てきません。何せ、聖書が書かれた時代にはキリスト誕生など5・60年前のはるか昔の話、公式記録もろくろく残っていない状況ですから、仕方ありません。そこに、皆がいろいろな美しいイマジネーションを働かせて、ファンタジーが出来上がって現在に至ります。てなわけで、聖書に出てくる情報だけでクリスマスをしようとすると、ネタが切れて困るということもあって教会も割とファンタジーの世界になっていますが、それは仮の姿…本当はクリスマスはものすごく愛想ない地味ーな出来事に起源を持つお祭りなのです。
皆さんいろいろ面白いものを作って来て下さっておいしい食事になりました。ブロガーのみなさんも楽しい、または仕事で忙しいクリスマスを過ごされたみたいで何よりです。で、たまには牧師らしくクリスマスについてのまとめ記事を書こうかと思います。
キリスト教的に言えば、クリスマスの意義はいろいろありますが、それを言い出すと長くなるので、そういう話が聞きたい方は教会にお越し下さい。今回は聖書を基準にして、聖書に書いてあるか書いていないかをまとめてみました。教会の唯一の基準となるのは聖書という正典だけなのですが、なぜかクリスマスなるとキリスト教徒はあんまり聖書を読んでいないのか聖書に書いていないような話がまことしやかに語られたりしてますが、だまされちゃだめですよー。○☓のクイズ形式で出題してみました。○と☓がいくつつくでしょうか??
①12月25日はキリストの誕生日である。
②父ヨセフと母マリヤは宿屋に宿泊できなかったため、キリストは馬小屋で生まれた。
③キリストの母マリヤは周囲の祝福を受けて出産した。
④サンタクロースは聖書に登場する人物がモデルになっている。
⑤キリストの誕生には3人の博士(学者・占星術師)が立ち会った。
⑥クリスマスはキリスト教の初期(1世紀後半)から盛大に祝われてきた。
では、答え合わせ。答えは全部☓です。
①12月25日というクリスマスの日付は聖書には出てきません。キリストが生まれた夜、羊飼いが野宿していたという状況から考えると、12月の寒い時期にキリストが生まれたということは考えられません。もともとクリスマスは1月の初めに祝われていましたが、12月末に行われていた太陽の神の祭りが結構盛り上がっておりました。それでキリスト教の祭りを定着させ、異教の祭りを廃止するために、太陽の神の祭りの日にクリスマスを移動したという説が有力です。そんなんで、クリスマスはキリスト教の祭りですと言いつつ、キリスト教とはあまり関係のないヨーロッパの異教的な習慣がたくさん混ざり込んでいます。
②父ヨセフと母マリヤは住民登録の命令が出たために、現住所のナザレからヨセフの故郷であるベツレヘムに旅をしなければなりませんでした。いくつかの聖書には宿屋には彼らの居場所がなかったと訳されていますが、宿屋と訳されている言葉は「客間、ダイニングルーム」と訳すことも可能な言葉。そもそも観光地でもないベツレヘムにホテルがあったのか疑問。だいいち故郷に帰るなら実家とか親戚の家に泊まるでしょう。
それから、馬小屋ではないだろうと思います。なぜならイスラエルでは馬はほとんど飼われていなかったからです。水があまりない地域で、牧草もほとんどない羊や山羊の放牧がせいぜいの土地柄。馬に乗っていたのはローマの兵士ぐらいでしょう。馬小屋ではなくてヤギやロバがつながれていた「家畜小屋」が正解だと思います。
③マリヤとヨセフは当時の結婚制度の中で婚約中のような状態でしたが、婚約期間が終わるまでは正式な結婚とは認められませんでした。マリヤは正式な結婚をしていないのに聖霊によって妊娠するという超自然的な神様の働きで妊娠したということなので、「未婚の母」扱いです。しかも相手はヨセフではないので、当時のイスラエルにおいては「姦淫の女」のレッテルが貼られるような存在でした。古いイスラエルの法律を適応すれば、こういう女は「父親の家の前で石打の死刑」と決まっていましたから、祝福どころか冷たい目にさらされていただろうと思います。ヨセフは、自分が妊娠させたのでもないのに妊娠した婚約中のマリヤを恨むこともしないで、そういう社会的な批判にマリヤがさらされるのを危惧して、こっそり離縁しようとしました。そこで、夢で神様の使いにとどめられて思いとどまります。ヨセフはなかなか人間ができた男です。
④サンタクロースは4世紀の聖ニクラウスが起源だと言われています。聖書とは直接関係ありません。が、聖ニクラウスが娘を身売りしようかと悩んでいた貧しい家庭を助けるために金貨を投げ入れたという話がサンタクロースのモデルになったということです。サンタクロースにモノをもらうことばかりではなくて、人を助けたり、優しい気持ちを他人にあらわしたりすることがサンタクロースの精神を受け継ぐことだなーと思います。
⑤マタイの福音書というところに、東方の博士が来訪する記事が出てきますが、キリストが生まれた家畜小屋には来ていないでしょう。当時のイスラエルの支配者ヘロデがキリストの生まれた年代や場所を学者たちに調べさせた結果、2歳以下のベツレヘム周辺で生まれた男子を全員殺せという命令を出しますから、おそらく東方の博士の来訪はキリスト誕生から2年以内のしばらく時間がたった後だろうと思います。それから、博士が持ってきた贈り物の数が3つなので3人の博士だと思われていますが、聖書には3人だったとは書いてありません。複数形なので2人以上ということしか分かりません。
⑥クリスマスが祝われるようになったのはキリスト教の歴史のなかでは比較的後になってからです。と言うのは、キリスト教の初期にはキリストが十字架にかかったとか、復活したとかいうことの直接的な目撃者はたくさんいましたが、キリストの誕生の出来事なんかほとんど誰も知らないという状況でした。そもそも数十年前の個人的な出産の話なんか、産んだマリヤぐらいしか覚えてないんじゃないのかと思います。で、復活祭(イースター)はキリスト教の初期から祝われていましたが、クリスマスはキリスト教が国教化され、激しい迫害を受けなくなって時代が安定してから、ある意味「後付け」みたいな感じで祝われるようになりました。イベント性が高いので盛り上がるのがクリスマスですが、聖書的にも歴史的にも「復活祭」の方が重要度が高いと思われます。
と言うわけでキリスト教的にはクリスマスというのはそんなにロマンチックでもありません。と言うか、聖書にはキリスト誕生の記事はごくごくわずかしか出てきません。何せ、聖書が書かれた時代にはキリスト誕生など5・60年前のはるか昔の話、公式記録もろくろく残っていない状況ですから、仕方ありません。そこに、皆がいろいろな美しいイマジネーションを働かせて、ファンタジーが出来上がって現在に至ります。てなわけで、聖書に出てくる情報だけでクリスマスをしようとすると、ネタが切れて困るということもあって教会も割とファンタジーの世界になっていますが、それは仮の姿…本当はクリスマスはものすごく愛想ない地味ーな出来事に起源を持つお祭りなのです。
Posted by せさみん at 09:41│Comments(0)
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