2008年05月12日

ペンテコステって何のステ?

 たまには、牧師らしくキリスト教の解説を書こうと思います。宗教的な内容はパスという方はスルーして下さいm(__)m

 今日は母の日です。で、現在のイベント性のある母の日の起源になったのは、アメリカの教会での出来事だと言われています。母の日はキリスト教の祭りではありませんが、キリスト教に関係あるイベントとして教会では広く祝われています。

 で、それと共に今日はペンテコステというキリスト教の重要な祭りの日です。
 キリスト教の3大祭り
 1降誕祭(クリスマス)
 2復活祭(イースター)
 3聖霊降臨日(ペンテコステ)
の一つです。

 ペンテコステという言葉のペンテの部分が、「5」という意味です。ペンタトニック(5音音階)とかペンタゴンとか言うあれです。ペンテコステという言葉は単に50日目の祭り、五旬節という意味です。この日に聖霊というものが天から降ってきたので聖霊降臨日と呼ばれています。
 十字架にかかったイエス・キリストが墓に葬られ3日目に復活し40日間地上で活動した後天に昇ります。残された弟子たちにはキリストの十字架と復活という新しい教えを世界中に布教する使命が与えられます。が、この弟子たちがとんでもなく頼りないダメ弟子たちで、キリストの教えをあまり理解できていなかった上に、キリストが逮捕される時には逃げ出すという有様でした。とても、布教の重責を担わせるのは無理な話。そこで、イエス・キリストの代わりに、聖霊が地上に降ってきて、弟子たちの心の中に宿り、弟子たちは大胆にキリストの十字架と復活を宣伝するようになってゆく…と聖書の物語は続きます。
 
 聖霊とかいうとちょっとオカルトチックですが、自分を失って知らないうちに操られるというようなたぐいのものではありません。むしろ自分の中に対話の相手、専属カウンセラーがいるという感覚です。何かに取りつかれたような神秘的経験ではなくて、理性も自分もしっかりある状態で、聖霊と対話することによって、励まされたり慰められたり力づけられたりという経験です。一言で言えば人格的交流ということです。
 聖霊との対話と言っても天から声が聞こえるわけではありません。聖書とお祈りが具体的なツールです。「え、それだけ、普通やん」と言われそうですが、特に変わったこともしませんし変わった道具も使いません。聖霊という人格的存在をイメージしながらお祈りする、お祈りという方法を通して相談したりお願いしたり不安な自分をさらけ出したりするということです。それに対して、聖霊の方からのリアクションというのは大体の場合は聖書の言葉を通してなされます。聖書という書物は2000年以上前に書かれた幾多の書物の集合体なので、今の自分の状況に対応するために書かれたわけではありませんが、そういう聖書の言葉の中から、今の自分にとって勇気が出る言葉や、癒される言葉が不思議と心に響くという経験をします。聖霊からの語りかけを聖書の言葉を通して受け取るという期待をもって聖書を読むわけです。

 というわけで、聖霊降臨!とか言っても、キリスト教の信者は外見上特別な変化はありません。むしろ淡々とした日常生活の中で、聖書を読んだり、お祈りしたり、日曜日には礼拝したりということにより深く神様とのつながりと対話を意識してゆくという感じです。日本人は普段の生活と祭り、日常と非日常のギャップがある方が宗教っぽいと感じるのではないかと思うので、
 ハレとケの区別があまりない、日常生活の中で神様と一体化してゆくというこの信仰の雰囲気というのは、日本人にはあまりなじみがないかもと思います。でも、どっちかいうと、私たちが助けを必要とするできごとは普段の生活の中で起こるので、聖霊という形で日常生活に深く神様が入り込んできていつでもスタンバイしているキリスト教はなかなか宗教としての実用性があるという風に思います。
 キリスト教にはお祈りしたらその場で病気が治るみたいなインスタントな御利益はありません。超常現象も起こりません。むしろ、素敵な人と付き合っているとだんだん自分も影響を受けて素敵になってゆくように、聖書を読んだりお祈りしたりという普通のことを毎日する中で聖霊との関係を深めてゆき、ジンワリ素敵な人になってゆくということです。そういう全人格的な変革が徐々に起きるという点が、キリスト教のメリットかなー。その場で問題が解決したり、人が変ってしまうというのも魅力的ですが、10年前の自分からは確実に良くなってるよというのはなかなか人生トータルで考えるといいもんですよ。



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Posted by せさみん at 00:18│Comments(0)聖書
 
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